触媒材料から磁性体、そして二次電池の研究へ。
持続可能な発展をめざし、社会全体でさまざまな取り組みが進められているSDGs。そこで掲げられている目標の一つに、“エネルギーをみんなに そしてクリーンに”がある。持続可能で近代的なエネルギーのアクセスを確保する、そのための研究に取り組む若手研究者の一人が、東北大学多元物質科学研究所の小林弘明講師だ。
小林講師は東京大学工学部、東京大学大学院総合文化研究科、同工学系研究科を経て、2017年4月、東北大学多元物質科学研究所に助教として着任した。学部生時代は、モノづくりの化学に関心を持ち、触媒の研究に取り組む水野哲孝研究室に所属、有機化合物とアンモニアを反応させる触媒開発研究に取り組んだ。修士課程では、「もっと幅広く知見を広めたい」という思いから、小島憲道研究室で磁性体の研究に取り組んだ。現在メインで研究を進めている電池の分野に足を踏み入れたのは、博士課程に進学してからだという。
「電池研究に関しても、有機蓄電池、コバルトフリーのリチウムイオン電池、マグネシウム蓄電池など、さまざまな研究テーマに取り組んでいますが、 “材料科学”という視点から見れば、それらはすべて共通の土台をもった研究です。違うのは、応用先が何かという点。触媒に使える材料をつくるのか、磁性に使える材料をつくるのか、電池に使える材料をつくるのか、というだけの違いであり、根本にあるものは、初めて研究室に所属した工学部4年次の頃から変わらず、初志貫徹しています」。