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【世界初!】アクアイグニス仙台 農業ハウス 栽培用自然エネルギー利用熱源システム 開発発表(多元物質科学研究所 プレスリリース)

【世界初!】アクアイグニス仙台 農業ハウス 栽培用自然エネルギー利用熱源システム 開発発表(多元物質科学研究所 プレスリリース)

2023.02.01

 このたび株式会社深松組※2(所在地:仙台市青葉区荒巻本沢2丁目18−1、代表者:代表取締役社長 深松努)と仙台reborn株式会社(所在地 仙台市若林区藤塚字松の西33-3、代表者:代表取締役 深松努)、東北大学多元物質科学研究所(所在地:仙台市青葉区片平2丁目1−1、研究所長 寺内正己)は、アクアイグニス仙台内 農業ハウスに栽培用自然エネルギー利用熱源システムを開発・導入し、実証試験を開始したことを発表しました。

※1 世界初のポイント…アクアイグニス仙台に設置した太陽熱集熱器と、太陽熱を恒温熱源化することができる凝固層剥ぎ取り型潜熱蓄熱システムを組み合わせ、新システムの開発を行いました。化石燃料に依存しないカーボンニュートラル型の施設園芸が期待できる世界初の試みとなります。
※2 「地中熱回収システム導入による省エネ対策」の取組みについて、令和4年度宮城県ストップ温暖化大賞を受賞しました。

(左)株式会社東北開発コンサルタント 建設設計部 設備設計グループ 副部長 鈴木正志
(中)株式会社深松組 代表取締役社長 兼 仙台reborn株式会社 代表取締役 深松努
(右)東北大学多元物質科学研究所 助教 丸岡伸洋 博士(工学)

 
 

関係者発表コメント

■(株)深松組 代表取締役社長 兼 仙台reborn(株) 代表取締役 深松努
 従来の農業ハウスにおいて温度管理には重油ボイラを利用していますが、重油価格の高騰により農家の方の負担が大きくなっています。このようなことから、太陽熱を高効率で蓄熱し温泉排熱とハイブリッドで活用するシステムを開発し、少しでも農家の方々の課題解決に繋げていきたいと考えています。

■ 東北大学多元物質科学研究所 助教 丸岡伸洋 博士(工学)
 大学の研究が社会実装に向けた取り組み段階にはいりました。この技術は潜熱蓄熱の高度化にとどまらず、これまで熱交換を諦めていた汚れやすい環境下での活用が期待でき、温泉熱回収や産業排熱回収など様々な取り組みを進めています。

■(株)東北開発コンサルタント 建設設計部 設備設計グループ 副部長 鈴木正志
 本施設では、これまでも⾃然環境に優しく、省エネでCO₂排出量削減に尽くし、使い勝⼿の良い建物建設を目指し、それを実現してきました。更に、農業ハウスにおいても、⾃然エネルギーを効率よく利⽤し、エネルギーコストが削減できる施設構築を目標としています。

 

本事業の背景

 アクアイグニス仙台は、省エネ性やCO₂排出量の削減に寄与することを目的としており、地中熱・温泉排熱・ボイラ廃熱・浴槽排気熱から熱を回収し,各設備にて利用するシステムを構築・導入しております。

 その中で、敷地内の「農業ハウス」では、太陽熱エネルギーの利用を検討してまいりました。しかしながら、変動熱源である太陽熱を効率よく安定熱源に平準化することは従来のシステムでは難しい現状にありました。

 蓄熱密度に優れた「潜熱蓄熱式平準化システム」に着目いたしましたが、従来型の潜熱蓄熱システムでは蓄熱した熱を放出する際、伝熱壁表面で潜熱蓄熱材が凝固し伝熱面が固相で覆われるため、著しく伝熱速度が低下するという問題を抱えていました。

 
 

栽培用自然エネルギー利用熱源システムの概要

 本事業では、潜熱蓄熱材に蓄熱した熱を高速かつ安定して放熱できる「凝固層剥ぎ取り型潜熱蓄熱」¹⁾ システムと、冬場でも効率の良い集熱が可能な「ヒートパイプ式太陽集熱パネル」を用いた集熱システムを組み合わせた栽培用自然エネルギー利用熱源システムを開発しました。冬季の夜間などの暖房が必要な時に、潜熱蓄熱材から熱を取り出し、培地に常時熱を供給することが可能となります。

 

 運転に際しては、様々な条件を考慮し、太陽熱を集熱できない場合でも、温泉排熱を利用するなどバックアップを図ることが可能となっています。

 

 

 本システムを利用した農業ハウスでは、イチゴ栽培を予定しており、収穫後はアクアイグニス仙台内のマルシェやレストランで提供予定です。

 
 

本事業の実施体制

 本事業は、㈱深松組・東北大学多元物質科学研究所の共同研究事業であり、令和4年度みやぎ二酸化炭素排出削減支援事業補助金(研究開発等事業)計画認定事業として宮城県が主催する産学官連携会議に参画しています。

 

期待される効果

 本システムにより太陽熱エネルギーの平準化が可能になり、化石燃料に依存しないカーボンニュートラル型の施設園芸が期待できます。これは国際情勢変化による燃料や食糧庁樹紀を回避するために重要な技術・概念です。また、施設園芸に限らず、建物の空調、各種プロセスへの熱供給など多岐にわたる展開が期待できます。
 今後も施設園芸全体の持続可能な未来に寄与すべく、本システムの実証研究を継続してまいります。

 

参考文献: 1) Maruoka, N., 他, Energy, 2020, 205, 118055

関連リンク:
東北大学
東北大学多元物質科学研究所

 

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