
“研究”と”開発”の違いに気付き”研究者”に
セラミックスや蛍光体など幅広い応用があり、高い機能性や耐久性などから今、世界的に注目されている無機材料。その魅力に取りつかれ、研究に邁進しているのが、東北大学多元物質科学研究所(多元研)の長谷川拓哉准教授だ。
山形県出身の長谷川准教授は新潟大学工学部応用化学科を卒業し、大学院博士前期(修士)課程に進学した。 「実は修士の学位を取得して一旦、就職したのですが、“大学院時代に中途半端で終わってしまったな”の気持ちが捨てられなかったんですよね。」はにかみながら、長谷川准教授は話を続けた。
いざ企業で開発の業務に就いたものの、そのゴールの明確さに戸惑いを感じつつ“研究には自由度がある”ことに気付き、改めて自身の研究者魂に火が付いた。修士時代の恩師であり、後の博士論文の主査となる戸田健司准教授(当時:現教授)や佐藤峰夫教授に相談し、会社を退職、大学院博士後期(博士)課程への入学を決意する。 「結構本気!死に物狂いでした。」当時を振り返る長谷川准教授の眼は、一段と鋭さが増した。
発光材料・蛍光材料など、無機結晶の構造と物性の関係性を学部から大学院まで一貫して研究していた長谷川准教授は博士の学位取得後、無機材料の知見を請われて高知大学の上田忠治教授の研究室で助教としてアカデミアな研究者としてのキャリアをスタートさせることになる。